(マドラスビーフカレー)
昔はマドラス、今はチェンナイ。
チェンナイは南インド、タミール・ナードゥ州の州都だ。チェンナイの周辺は1世紀頃から都市として存在している歴史のある地域だ。
1522年にポルトガルがゴアに続きこの地に要塞を築きこの地域をマドラスと称して支配する。1612年にはオランダ東インド会社がポルトガルの要塞より北に商館を構え、ポルトガルから商権を徐々に奪って行く。その後1969年イギリス東インド会社がポルトガル支配地とオランダの商館のある地域との間の土地を地元の領主権知事から取得し、そして新たにセントジョージ要塞を建設する。この要塞建設から市街地が徐々に広がると共にオランダの商権もイギリスが独占する事になる。
この事でも分かるように、マドラス一つの都市においても西洋による影響を受けている。もちろんインド人の持つ宗教は確たる物であるので我が道を行くであるが、いろいろな意味での西洋はインドに入っている。宗教による食事の制限はご存知の通りだがイスラム教、キリスト教、パーシー教の人達にとっては牛肉を食べる事になんら抵抗は無い。
医学聖典であるアーユルベーダにも、滋養の為に牛肉を食べる事を薦めている時代もあると記載されている。時代を経る事により段々と宗教的な意味合いが濃くなり牛は神聖な物になり、食べなくなった。
(紀元前5~6世紀からアーユルベーダが医学として確立された、その後バラモン的な考えが主流になり殺生が禁じられる)
だが、これだけ多くの西洋の人々やイスラムの国の人々がいるインドなのだから牛肉を食べる人達は現在も少数ながらいる。もちろんゴアやムンバイでは当たり前にビーフを食べる人々は多いが、チェンナイではまだまだ少数派である。
今日紹介する私が名付けた「マドラスビーフカレー」はチェンナイに住んでいる主人の友達の家でご馳走になった料理だ。彼たちは勿論インド人夫婦だがイギリスに長く住んでいた。そう彼らはNRIだ。ビーフを食べる事に抵抗がないそうでこの料理もイギリスで覚えたとか。とは言ってもインドの友達には作らないと言っている。美味しいです。
材料
4~5人分
<ペースト>
ホールスパイス
シナモンスティック 3㎝
カルダモン 13個
クローブ 10個
粒コショウ(ブラックペッパー)13粒
チリ 3 本
コリアンダーシード 1 tableスプーン
◎以上のホールスパイスをから炒りして、グラインダーでパウダーにしておく。
(ホールスパイス空炒り)
<パウダースパイス>
ターメリック 1teaスプーン弱
ガラムマサラ 1tableスプーン強
AJANTAのガラムマサラを使用。
AJANTAのガラムマサラはとても良い品です。
<その他>
サラダ油 5 tableスプーン
玉葱 中2個 スライス
塩 2teaスプーン(好みで)
まず、この材料でペーストを作ります。
① サラダ油を鍋で熱してマスタードシードを入れ、パチパチ跳ねてきたら、スライスした玉葱がきつね色になるまで炒める。
② その中に全てのスパイスと少しの水を入れ、混ぜながら1分程炒める。
ペーストが出来ました。
他の材料
牛肉 847g 3~4cm角に切る 700~850g位までOKです。
○カレー、シチュー用の切ってある牛肉を使うのもOK!!
生姜 3cm片 ざく切り
ニンニク 5 片 ざく切り
グリーンチリ 2本(みじん切り)
ココナッツパウダー 3 tableスプーンを水250ccで溶いてココナッツミルクを作る
作り方
① トマト、ニンニク、生姜をブレンダーでピューレにして置く。
② ペーストの入っている鍋に牛肉を入れ、中火で7~8分炒める。
焦げないように、様子をみながら必要なら水を少し足して炒める。
③ ①のピューレとグリーンチリを鍋に入れて煮る。
ピューレをミキサーから直に鍋に移し、ミキサーに付いているピューレを少しの水でそそり、その水も鍋に入れてグツグツと10~15分程煮る。
煮詰まったら、溶いてあるココナッツミルクを入れる。
もし、ココナッツミルクで肉が隠れない用なら水を足す。
ぐつぐつと音がしだしたら火を弱火にして肉が柔らかくなるまで1時間半ほど煮る。
④ 鍋に蓋をして1時間程煮てから、蓋を取り30分煮る。肉にスープのとろみが出て来て絡みつく感じまで煮詰める。
⑤ 味見をして、塩が足りないなら足す。
ポイント
★ ココナッツパウダーを水で溶く時にだまが少し出来ますが、気にしないで。
★ 肉を煮始めたら、時々なべを混ぜて気長に煮る。
★とろみが出ない用なら、蓋を取り火を強めて煮る。その時は鍋の前で様子を見ながら鍋の底が焦げ付かないように気を付けて。
日本のお米でも良く合うカレーです。