「インドお家ごはん⑦」で一度取り上げたポークヴィンダルーをもう一度取り上げます。
なぜかといいますと、待ちに待ったゴアのビネガーとカシミールチリが手に入ったので!!
本場の味を再現してみなくてはと思い立って!!
思い出して下さい、「インドお家ごはん⑦」でゴアの知り合いが言っていた言葉です。
「レストランでなんか食べないよ!家のポークヴィンダルーが一番だぜ!」
とか
「ビネガーだって家で作ったのが最高に美味しいのだよ!!」
私の手元に届いたのはゴアで売っている普通のビネガーです、念のため。
「カシミールチリがなかったらポークヴィンダルーの味は出ないよ!」
等々いろいろ言っていました。その彼がゴアからビネガーとカシミールチリを持って帰って来てくれたのです。でも最初の一言が
「アー忘れた!!シュガーを忘れたシュガーもヤシから作ったシュガーでなくては」
私は言いました。
「いいから、シュガーは日本の精製していない砂糖を使うから」
彼は言います。
「ダメダメ、味が変わるよ……きっと。ゴアのシュガーでなくては」
私
「水だってゴアとは違うのだしね!」
彼
「ポークヴィンダルーには水は使わないよ!!」いいえ少し使います。
私
「そりゃそうだけどね、言ったら何だけどポークだって日本の豚だけど!!」
やっと彼は黙りました。とにかくゴアのヴィンダルーポークについてはうるさいのです。
郷土愛というものでしょうか!!インドの人は何があっても我が生まれ故郷が一番、その気持ちの強さは並大抵ではありません。
というわけで彼の気持ちを汲んで、砂糖をいつものスーパー日進に探しに行きました。
東南アジアで普通に使われている砂糖なので難なく日進で見つけました。
パームシュガー
オオギヤシの花樹液を煮詰めて作られたのがヤシ砂糖(パームシュガー)です。
砂糖の歴史もまたおもしろく、ご存じのとおり砂糖はサトウキビから作り始められました。原産地は南太平洋の島々ですが東南アジアを経てインドに伝わり、
初めてサトウキビから砂糖を作ったのはインドだそうです。紀元前2000年にはインドで砂糖が使われていたと書物に残っています。
その後インドのサトウキビはペルシャ、エジプト、中国に伝わって行ったのです。
ところで煮詰めて砂糖、発酵させたのがヤシ酒になります。
ところでビネガーの事ですが、彼が持って帰ってくれたビネガーはムンバイの食品会社が作っている普通の赤酢でした。彼ではなく彼の奥様に頼んだらちゃんとココナッツビネガーを選んでくれたのでしょうが!!あれだけ「ビネガーは大事だ!!」と言っていた割には分かっていないのでした。日本のお酢よりワインビネガーに近い味です。
ヤシから作るビネガーはフィリピンでよく料理に使われていますが、ゴアの料理に使うビネガーはココナッツビネガーです。
ポークビンダルーに一番大事なカシミールチリについて少しふれておきます。
有名ではありませんがこのチリから出る程よい辛さに甘味と素敵な赤い色。これがカシミールチリの特長です。カシミール地方で生産されているチリで辛い料理にはもちろん使わないので南インドではあまり目にしませんでしたが、ゴアやムンバイから北の地方では当たり前に使われているそうです。
ゴアの料理には欠かせないチリです。
このカシミールチリをポークヴィンダルーに使うと使わないでは味の深みが違ってきます。
彼が言うようにポークビンダルーに欠かせません!!!
ヤシの砂糖、ココナッツの酢、カシミールのチリこの3点がゴア料理には欠かせないのです。
☆今日は前回の時よりポークが大きいので材料の分量が増えています。
ポークをマリネするための材料
ポーク 三枚肉915g
クミンシード 1tableスプーン 大盛り
コリアンダーシード 1tableスプーン 大盛り
カシミールチリ 6本
ブラックペッパー 13~16粒
グリーンカルダモン 8~10個
シナモンステイック 2cm片を3~4個
☆このホールスパイスをすべて乾煎りしてからグラインダーでパウダーにする。
ニンニク 5~6片(すりおろす)
生姜 4cm角(すりおろす)
ビネガー 5tableスプーン
塩 味が付くぐらい
カットしたポークをバットに入れて、パウダーにしたスパイスとすりおろしたニンニク、生姜、塩、ビネガーでよく混ぜ合わせて4時間ぐらいマリネにする。
炒煮にする材料
タマネギ(中)2個 粗みじん切り
砂糖 2tableスプーン(甘目が好きなら少し多く)
油 3tableスプーン
タマネギをボールに入れて砂糖をまぶしておく(30分位)
作り方
① 油を鍋で熱してタマネギタマネギを良く炒める。
② タマネギが透き通りあめ色になったら、マリネしたポークを入れ中火で5~6分良く炒める。
③ 水を少し入れて(かき混ぜやすい位の水)鍋に蓋をして火加減は中火で、少しぐつぐつと言い出したら、中火より弱めで40分位煮る。
注意 水気が少ないので煮ている間はよく蓋を取ってかき混ぜ、焦げないように注意する。
水は様子を見て足す。
(砂糖やスパイスは焦げやすいので注意して)
④ 塩味をみて足りないようなら足す。
出来上がりの状態は水分がほとんど無い。
ポークが柔らかくなったら出来上がり。
ポイント
☆ タマネギに砂糖をまぶしてあるので水分が出るがそのまま炒める。
☆ きっちりと蓋が出来る鍋を使うと自然と水が出るので作りやすい。
☆ 煮ていると自然に水分が出てくるがその水分で煮含めて仕上げる。
*日進ワールドデリカテッセン(私はスーパー日進といつも言っている)は東京の港区東麻布にある日進ハムが経営しているスーパーで、外国人の為に海外の食品を数多く取り揃えているスーパーです。
(港区は人口の10%が外国人です。)