家庭料理と外食
インドで食べるもっとも美味しいインド料理は高級レストランで食べる料理ではなく、家庭で食べる家のご飯です。
インドでは家庭料理がとても重要視されています。インド人がおもてなしをする場所は家であり、その家の料理なのです。
この頃はホテルのレストランで家族のお祝いをしたりしている光景を目にする様になりましたが、まだまだ一般的ではありません。
私たち夫婦もよく家に招待されます。そして、その家の自慢料理が振る舞われるのです。
特にタミルナードゥ州ではお見合いの時に「料理は得意ですか?」とお見合い相手の男性の母親から聞かれるのは当たり前の事だそうです。主人の家がチェンナイですから(チェンナイはタミルナードゥの州都)よく聞く話です。料理が上手いのは結婚の決め手になるのですよ。
以前にも書きましたが、インドには外食と言う習慣はつい最近までなかったと主人は言っています。ここで言う外食とは家族で食事に出かける事や女性がレストランで食事をするという意味です。勤めに出ている男の人や女の人がお昼を屋台や食堂で取るランチなどは含みません。それこそインドの屋台はそこかしこにあり、昼時はみんな外で立って食べています。
スイーツ専門店も多数ありますがここはほとんどが男性客です。女性がレストランで食事をするようになったのもここ最近の事で、特にムンバイ、ニューデリーなど大都市の外資系のオフィスジョブが現れてからではないでしょうか。
主人が中学、高校の夏休みにインドの家に遊びに行っていた時、(念のため主人が中学の時とは今から43年も前の話です)チェンナイの家にはクックがおり3食家で食べていたそうです。もちろん1か月の滞在中には肉料理やインド料理以外の料理も食べたくなるでしょう、そういう時にはインドの叔父や叔母がホテルのレストランに連れて行ってくれたと言っています。チャンナイの家のクックはベジタリアンですから今もそうですが肉、魚の料理はしません。ですから私たち夫婦もチェンナイの家に滞在しているときは必然的にベジタリアンになります。
このベジタリアンというのも外食をしないひとつの理由になっていたのでしょう!!外食でベジタリアンをうたっていたとしてもノットシュアーですから。
我が家のクックはムルティーの家の味をとても大切にしていますし、作る料理に誇りを持っています。そうなのです、家庭の主婦は家の料理に誇りを持っているのです。
街にいろいろな種類のレストランが出来たのはやはり経済を解放した1990年以降でしょうか?ケンタッキーフライドチキンを始めピザハットなど外資系のファーストフードが出始め、その刺激でインド人の経営するレストランの幅も広がり、いろいろな形式のレストランが街に溢れ、経済成長のおかげで個人消費も増えて以前とは違う形でお金が使われるようになり、外食という楽しみ方が確立されたように思います。
ですがやはり美味しい料理は家で食べるご飯でしょう。
「インド滞在記 チェンナイの朝ごはん」でも書きましたが、家で作る料理はやはり美味しいですね。マサラひとつとっても料理を作る時にマサラも作りますし、ココナッツチャツネもドライにしたココナッツの実をその時に削ります。パニール(インドのカッテージチーズ)も牛乳から作るのが良いとされています。このように手間を惜しまず作る家庭料理が美味しいのも当たり前です。手間暇かけると言う事は家族に愛情を注ぐ事なのです。
今日作るRava Oopumaは南インドで良く食べられる朝ごはんです。使う材料でOopumaの前に付く名称が変わります。Rava とはセモリナ粉の事で、セモリナ粉とは殻つきの小麦を引いた物です。
「チェンナイの朝ご飯」で家のクックが作ったウプマを東京の私のキッチンで作ってみます。材料、分量は多少違いますが美味しく作れたと思います。
マンゴピクルスと一緒にウプマを頂きます。マンゴピクルスは青マンゴをチリなどスパイスと芥子油で漬けたインドのピクルスです。今はインドの家庭でピクルスまで作る家はそうそうないと思うのですが、昔はマンゴやレモンの収穫時期が来るとピクルスを漬けたそうです。
日本も梅干しを昔は各家で漬けていましたね!!
材料
セモリナ粉 180gm
塩 1 teaスプーン(味が付く程度)
油 5 table スプーン
★マスタードシード 1 tea スプーン
★ウラドダール 1 tea スプーン
★チャナダール(ひよこ豆) 1 tableスプーン
★フレッシュグリーンチリ 3 本 (種を取り刻む)
★生姜 8~10 gm(みじん切り)
★カレーリーフ(乾燥) ひとつかみ
水 600ml~700ml
作り方
① 中華鍋を火にかけてセモリナ粉が色付くまで乾煎りして、皿に移して置く。
② 同じ鍋に油を入れ火にかけて油が熱くなったら、★の材料を鍋にすべて入れ、弱火で香りが出るまで十分に炒める。
水650 mlと塩を鍋に入れる。
③ 水が煮立ってきたら先ほどのセモリナ粉を少しずつ、よくかき混ぜながら鍋に入れていく。
セモリナ粉が十分に水分を吸いとり硬さはおからの炊いた時の感じになれば出来上がり。
もし水分が足りないようならお湯を足す。
※ 鍋に水を入れた時に水の量が多いと思うが、セモリナ粉が吸い取るので大丈夫
※ お湯が必要になった時のために用意しておく
ポイント
☆ セモリナ粉の空煎りは焦がさないように弱火でゆっくりと
☆ ウプマの硬さはおからを炊いた時の感じ