これまでの旅行経路
2月4日(月)
9時40分 ジャイプールを出発。
ここからの行程は車での移動となる。車はトヨタのINNOVA(イノーバー)インドで生産されているトヨタのワンボックスカー、車内はゆったりとして乗り心地が良い。ドライバーのシンさんとは今日から7日間をともに旅をする。
ジャイプールからナワルガルは150 km、途中休憩なしで3時間の道のりだ。
セカワティ地方のナワルガルという村に到着したのは12時40分。
セカワティ地方がなぜ観光地となったのか?
特にナワルガルは要塞もパレスもないのどかで静かな村だ。だが朽ち果てようとしている大きな館がそこら中に立っている。これは何?昔は華やかに栄えていた街だったのだろうか?
この村をぜひ見て欲しいとMr.Kapoorが言った。
「Saeさん、セカワティのナワルガルは絶対に見て欲しいですね。とてもアートな村なのですよ!!大きな館が沢山あってその館のあらゆる場所に絵が描かれているのですよ!!画家の田村能里子さんもその場所を取っても気に入って下ったのです。」
カプールさんがそこまで言うのですからそれは行かなくては!!
(私は田村能里子さんの絵が好きだ。彼女が描く女はインドの大地を踏みしめて生きる力強い女、そこにほのかに漂う女の香りを描ききっている。それと強烈な赤!!その彼女が好きだといった同じ処に立てるのはうれしい。)
ハベリを改造したホテルに宿泊
今日の宿は商館を改造したホテル。
部屋は4年前にケララ州コーチンのオランダ人の商館を改造してホテルにした部屋と同じ造りである。天井が高く出窓を大きく取り、ベッドの高さが異常に高いので踏み台がおいてある。ホテルをヘリテージホテルと言うらしい。(ヘリテージとは遺産とか継承していく物)
(ホテルの部屋)
(ホテルの前のハベリ)
セカワティ地方は400年ほど前にシルクロード交易で栄えた街。シルク、ウール、スパイスなどを取引していたと云う。シルクロードと言えばキャラバン隊が思い浮かぶ、その通りで商館はキャラバン隊の人達を泊める旅籠も兼ねている。
商館の事をHaveli(ハベリ)と言い、150軒ものハべリがこのセカワティ地方にあり特にナワルガルに集中している。
ハべリの構造を簡単に説明すると真四角~長方形の3階建てから4階建ての建物で正面に大きな入口がある。その入口がまた美しい!!
入り口を入ると広場になっており、入口のある棟は商取引の場所に当たり、広場の両サイドの棟が家族の居住場所、広場の奥がキャラバンの人達の宿泊場所になり、その裏に荷を入れる倉庫やラクダを繋ぐ場所やキャラバンの人達の台所などがある。ハべリに泊まりきれない時は街の水飲み場の傍で夜営をしたと言う。(水が豊富だからキャラバン隊の中継地と商取引の街になる)
これほどハべリがあっても泊まりきれないというのは如何にキャラバン隊が多く集まっていたかと言う事で、その賑わいは如何ほどの物だったのだろうか
アートの村の壁画
どうしてこのセカワティ地方が有名になったのか、何がアートの村なのか?
このセカワティ地方は多くの画家が暮らしていたという。その画家たちの食い扶持がハべリに絵を描く事だったらしい。なぜ多くの画家が集まっていたのかは定かではないが、ハべリに絵を描くことが出来るので集まってきたのか、画家が沢山いたのでハべリに絵を描かせたのか??ガイドに聞いても答えてくれなかった。
だがハべリの建物全体に壁画が描かれていることでセカワティ地方は有名になった。この様な極めて複雑で見事な美しさを誇る壁画が多くの館に描かれているのは世界中探しても、このセカワティだけだそうだ。
※この壁画は世界遺産のハべリの物です
ラジャスタン州の中でもこのセカワティ地方は日本人にはあまり馴染みがないが、フランス人やイギリス人、アメリカ人の観光客には人気のスポットになっているそうだ。
私たちのホテルにもオランダ人のツアー客が泊まっていた。(話がそれるがこのオランダ人達はさすが自転車の国から来た人達で全員自転車に乗って観光に行きました。)
これだけの数がありながら世界遺産に登録されたハベリは1軒だけで、ナワルガルが世界遺産にはならなかった。
(世界遺産ハべリ)
保存状態の悪さの問題ではなく、保存する事など考えていなかったと思う。
住人の意識の問題もあるが、それ以上にハべリの持ち主たちがシルクロード交易の衰退と共にカルカッタやボンベイに居を移し、ここを放置してしまった事が一番の問題だとガイドは言っている。
「ただ朽ち果てるのを見ているのは辛いね」誰でもそう思うが、思うだけでは修復は出来ない。「修復するには莫大な費用が掛かるから」とガイドはつぶやく。
「行政が予算を付けねばね~」と私もつぶやく。切ない!!
※ この地方はインドの金融業を始めたマルワリ族の発祥の地である。ハべリの持ち主のほとんどはマルワリ族です。シルクロード交易で得た富で金融業を始めたのかしら?
※ この写真は手入れを始めたハビリ。世界遺産のハビリとの違いが良く分かる。
「手入れを始めたハビリが何軒かある事は嬉しい!!」とガイドが言っていた。
ホテルに戻ってディナー
小雨の中でのハベリ見学を終えホテルに戻る。
目を閉じ華やかだった頃のナワルガルの街を思う。
商館で荷を揚げ解く人夫達のざわめきが聞こえ、商館の娘や使用人の女達が小窓からキャラバン隊の男たちを盗み見している光景や、ハベリの中を走り回る子供たち、商いの客人たちは水タバコを回してくつろぐ姿などを思い描かせるハべリだ。
デイナーはルームサービスを頼む。何故か?レストランがとても暗いからだ。インドで良く感じるのだがどうしてここまで暗くするの?と思うぐらい暗いレストランが多い。
頼んだのは「チキンカリー」「干し豆のカリー」「ライタ」とサフランライスにパン。
干し豆のカリーは初めての味。干した豆の味は日本の干しワラビに味も姿もそっくり!!結構チリの辛さが効いるが美味しい。
次回はタール砂漠の北端に位置するビカネールに行きます。
駱駝がお楽しみ?!