古い台所だ、家の管理をしているサーバントのラジューによると、彼はここに働き出して50年になるという。 主人と年が変わらない、と云う事は子供の時から居るのであろう。
こう言う事はインドでは良くある話、庭の掃除をしている女性も年は幾つか分からない。 主人が思うに子供のころから居たような気がすると、洗濯や家の中の掃除をするサテイア、彼女も昔々からいる。何時の間にか女の子を産み、その女の子が結婚して女の子を産み、サテイアにとって孫になる女の子は14歳になる。サテイアは孫共々この家に住んでいる。
この辺の事情はインドでは良くあることらしい。
台所の話でした、ここの台所は大変に古いが40年近く前に家の中に作りなおした。 インドの昔の家は台所を外に作っていた。昔の台所の一部はまだ、野菜や大鍋などの洗い場として使われている。
昔、料理をする人は外の台所でスパイスを臼で引いたり、豆の寄り分けをしたり、野菜を切ったり、一番大事な窯に火を入れ、何時間もかけて1日3食を作っていた。もちろん食料保管庫でもあった。料理人は一日中、台所で過ごしたのでしょう。
暑い事この上なかったのでは。ほぼ1日中火が窯に入っているわけですから。
その頃のこの家は、チェンナイのほとんどの街路樹などの植林を手掛けていた造園屋で、毎日大勢の職人の出入りがあり、いつでも誰かが食事をしていたと主人は言っている。 さぞ、にぎやかで華々しい時代だったのだろう。
そういえば、ホールの壁から水が流れるようにしてあったとか?州や中央政府のお偉方が見える時にだけ水を流していたとの話。写真でしか見た事はないが。涼しさを演出したのでろうか?
ごめんなさい、私の話は取り止めなくて。
それで、今の台所ですが家の中に作ってから、40年もたった年代物。私達は日本だし、親戚は殆どが米国在住、主人を始め皆NRI(Non Resident Indian=インドに住んでいないインド人と云う意味)で、昔はあまり良い意味では使われなかったが、IT、金融、医者、物理学など特にアメリカで大変活躍するインド人が増え、外貨も大いに稼ぎ、国の名誉を作った人達。今では良い意味でNRIと言われるようになった。
我が家に誰彼が帰ってきた時、台所の灯がつくのです。
台所は古いがとても綺麗に掃除が行き届き、棚や使いこまれた調理器具など古いが手入れされて、光っていた。
台所は神聖な場所です。日本も昔はそうでした。 料理人は朝一番に水を浴び、身を清め、お祈りをしてから台所に入ります。私はお祈りをしませんが、シャワーを浴びてから朝食の取材に臨みました。(朝起きてシャワーは毎日の事ですが) 台所では裸足です。清潔でなくてはいけません。さあー朝食作りを始めます。
チェンナイの台所用品
まずはどんな調理器具が台所にあるかチェックしました。
◎大、中、小の中華鍋 カレーはもちろん、豆の空炒り、揚げ物など
◎蒸し器 イディリやもち米を蒸す。
◎大、中、の圧力鍋 ダールを炊いたり、米を炊いたり
◎ドーサ チャパテイなどを焼く淵のないフライパン。
◎大型の臼 人数が多い時に活躍、電力で臼を回します。
◎手で引く臼
◎ブレンダー チャツネ、マサラを作る。
◎インド特有の壺 水を入れてある。
◎カップ 量の目安に使っている。
◎ヘラ類
◎ステンレスの皿や器など(切った材料などを載せる)
◎グラインダー(機械の臼) 大人数用の機械式のもの
◎大理石で出来た大きな磨り具
◎アルミ製のへら(Spatula) いろいろなタイプがあります。
◎穴のあるヘラ、あまり深さの無いお玉、など
◎ザル
◎おろし器
◎マッシャー
このような物がキッチンに置いてありました。 朝食の後の片付けにも相当の時間をかけている。綺麗なはずだ。
棚の中にはスパイス、豆類を収めてあります。鍵はあります。
こんな感じの台所です。こういう台所も、だんだん核家族化しているインドでは、希少価値になって行くのでしょう。
次回は写真と共に南インドの朝ご飯を紹介しましょう。