インドの茶と言えばチャイです。
チャイは紅茶をたっぷりのミルクで入れた飲み物です。
紅茶とインド
何故インドが紅茶の生産量世界一なのか?
それはイギリスの植民地であったからです。
総称して茶(※1)は、オランダ東インド会社の貿易により中国から(日本からも少し)ヨーロッパに運ばれ、英蘭戦争(凄く簡略しています。1次英蘭戦争1652年~4次英蘭戦争1780年~)の後、イギリス東インド会社の独占貿易(1721年頃)になり、特にイギリスの王室から(※2)庶民に広がります。(インドではその当時はオランダ人がとても紅茶を好んで飲んでいました。)
(※1)緑茶*紅茶とウーロン茶は発酵の仕方が同じ*全ての茶の原木は中国種とアッサム種の2種のみ
(※2)オランダ王室から英国王室に広められた。
最初に輸入されたのは緑茶でしたが、肉を多く食べるヨーロッパの人達には紅茶の方が好まれ、だんだん紅茶の輸入量が増えたそうです。
なぜインドでイギリスは紅茶の生産を始めたのか?
1820年終わりの頃、イギリス東インド会社は中国貿易の独占権を失う懸念を持ち始めました。
ちょうどその頃、インドのアッサム地方でアッサム茶の原木が発見されていた。発見されたとは言っても、昔からアッサム地方の人々は茶にバターを入れた飲み物を飲んでいるのですから、イギリス人がただそれを見つけただけであり、アッサムの原木をさも自分達が発見した様な言い方はおかしいと私は思いますが!!(アッサムの原木が茶かどうかを英国で調べた結果、茶の原木と判明するとある)
とにかく、茶は中国だけでは無く、なんと植民地にしているインドでも栽培できると分かったのだ。
だがそう簡単には行かない。
本国で認められる品質のものを栽培しなくてはならない、そのために中国から茶の苗木、茶の製造者を連れ出した!?
中国にとって茶の製造は守らなくてはいけない秘密なのだ。だから連れ出したという言葉を使う。
その後も茶の栽培が簡単に行くわけはなく、紆余曲折、困難をどうにか克服、軌道に乗せ良質の紅茶を生産し収益を上げられるように成ったのは1870年代に入ってからだったそうだ。
インド人が紅茶を飲み始めたのは?
コーヒーはインドでは紅茶よりも古くから飲まれています。
ムガル帝国時代にアラブ人ぺルシャ人、中央アジアの人達によって伝えられ、1630年代終わり頃にはデリーにコーヒー店も出来ていて、ムガルの貴族たちが集まるサロンになっていたとの事。
紅茶は面白いもので、なかなかインド人には受け入れられなかったようだ。(多種多様な訳があるが今回は省略)
もちろんイギリス人達と交流のある上流階級や商売をイギリスやヨーロッパとしている人達は別だが。
一般のインド人にとって紅茶は薬として扱われている。金持ちの家でも紅茶は胸の病の治薬や、頭が痛い時に飲む薬だと言われていた。今でも紅茶に生姜を入れて飲むと体が温まり、風邪を引いた時などに、私もよく作って飲む。紅茶が薬として扱われていた事は理解できる。
ではいかにしてインドに紅茶を普及させたか?
1901年インド紅茶協会(イギリス人所有)はインド人が紅茶を飲むようになればそれは凄い市場が生まれる事に気が付く。そこからがおもしろい!!
インド各地の食料品店を回り、紅茶を置くようにセールスを開始。
とはいっても人員は二人の白人と書いてある。二人?でインド中を回るなど無理な事。やはり、商業の中心のムンバイから北の地方、またはカルカッタ辺りを回っていたのだろう。
売っていた紅茶はリプトンの安い紅茶だ。どうして安く出来るのか?それまでは紅茶は安い物ではありません。
トマス.リプトン
そうです、あのリプトンです。彼はどうすれば安く紅茶を売る事が出来るかを考えました。
そうして考えたのが直接買付けです。インド、セイロンの茶のプランテーションから大量に直接買い付けをしたら安く買えると。イギリス全土にある100店ほどの自分の店で他店の4分の1の価格で販売していたそうです。
紅茶協会はセールスと同時に特別紅茶宣伝隊を各地に送る事にしました。宣伝隊は野外用ストーブ、やかん、ティーポット、カップ&ソーサ、ミルク、砂糖などを持ち、紅茶の淹れ方の実地講習を開き各村の人達に教えて歩きました。
{Lizzie Collingham著 Curry A TALE OF COOKS & CONQUERORS 参照}
だがそこはインド人、イギリス人の様な優雅な紅茶の飲み方を教えられても、誰も真似はしなかった。インド式紅茶の淹れ方ではなく作り方にしてしまう。
そりゃそうだ、ティーポットにカップ&ソーサ、テーブルが在るわけも無く、床に座り食事をしている家でいくら英国式にして下さいね!!と言われても、出来るわけが無いだろうに!!
だが、あーだこーだとイギリス人が言っている間に徐々に北インドにはミルク紅茶、又はスパイス紅茶なる物が浸透していく。
最初は工場などで茶の屋台が出来、1杯の甘くて(この甘いもイギリス人は気に入らない)ミルクたっぷりの紅茶は疲れを取り、チャパティにミルクたっぷり紅茶は簡単なランチにもなり好評になる。そうやってだんだん茶はインド風になり、チャイが生まれた。
紅茶協会はチャイを紅茶とは認めたくなかったそうだ、ましてや色んなスパイスを入れた紅茶などは以ての外と言っている。
本当に簡単なインドと紅茶、そしてチャイの話を書きました。
いろいろな書籍を読むにつれ、インドがイギリスの植民地であった事の悲惨さが紅茶一つをとっても出てきます。(書かなかったが)
紅茶は中国でのアヘン戦争勃発の一因です。スリランカでの民族紛争も、イギリスがセイロンに茶のプランテーションを作る為に、タミール人を奴隷として連れて行った事がその後セイロンがスリランカとして独立するに至って、今日まで火種として残されています。
紅茶での悲喜劇には事かきません。
英国や私達の紅茶とインド人が飲むチャイは同じ紅茶の茶葉を使いますが、違うものだと思います。
英国人にとって紅茶とは香りと色、渋みなどがとても大事です。
ですがもちろんチャイも品質の良い茶葉を使えばより美味しく作れます。
こだわるほど良い茶葉を使う必要はありません。
だって煮るのですから!!!
ティーバックでも美味しく作れます。
美味しいチャイの作り方です。
チャイ (ティーカップ4杯分位)
茶葉はティーカップ1杯にteaスプーン軽く山盛り1
ちょうど良い大きさの鍋に3対7の割合 水が3 牛乳が7です。
(目分量で大丈夫ですから、だいたいの感じで)
<作り方>
1,鍋に水を入れ沸騰させます。
2,そこに茶葉を入れてグツグツト煮出すつもりで、煮詰まりそうなら、水を足す。
3,牛乳を入れて、グツグツと中火で煮る。我慢して煮て下さいね。グツグツしてから3分は煮る。
4,砂糖又は蜂蜜はカップに茶漉しで注いでから好みで入れる。(甘めが美味しい)
ジンジャーとカルダモンのチャイ(4杯分)
生姜 1片
カルダモン 3粒
※水と牛乳の割合は普通のチャイと同じです。
<作り方>
1,茶葉を水で煮出している時に潰したカルダモン、生姜を鍋に入れ茶葉と一緒に煮る。
(潰した生姜とカルダモン)
2,牛乳を入れてグツグツしてきたら3分は煮る。
3,茶漉しでカップに注ぎ、砂糖又は蜂蜜は好みで。
ポイント
★ 茶葉は多目に。
★ 濃い牛乳を使うとこくが出る。
★ ティーバックの数は4杯なら3個、袋ごと鍋に入れて煮る。
今回はカルダモンと生姜で作りましたが、シナモンや胡椒で作っても美味しいです。(カルダモンと生姜のチャイには入れないで下さい)
色んなスパイスを同時に使うと味が分からなくなります。
私は2種類がちょうどスパイスの良さや味が楽しめるのではと思います。